介護タクシー会社の社長が綴る日記

介護タクシー会社の社長が綴る日記

JOURNAL

ただ「送る」だけではない、送迎を目指して
8年前、アルバイトから始めた透析送迎。

病院の担当者から声をかけていただいたことをきっかけに個人事業主となり、3年前には法人化しました。

最初は僕一人だった会社も、今では僕を含め10人のスタッフで送迎をしています。

ありがたいことに、二種免許を持つドライバーが3人。介護福祉士や介護職員初任者研修の資格を持つスタッフもいます。さらに、現在も資格取得を目指して勉強しているスタッフがいます。
新たに資格を取得する人には、資格取得にかかる費用は会社が負担しています。

なぜ、そこまで資格にこだわるのか。
それは、送迎の仕事は「車を運転できればいい仕事」ではないと思っているからです。

最近は、街中でも送迎車を見かけることが増えました。
送迎の車が増えるということは、それだけこの仕事を必要としている方が増えているということなのだと思います。

だからこそ、僕たちは「ただ目的地までお送りする」だけの送迎にはしたくありません。

安全に運転する。

乗り降りのときには、利用者さんの様子を見る。
急かさない。
不安そうな方がいれば声をかける。
ご本人が話したそうなら耳を傾ける。

逆に、そっとしておいてほしそうなら、必要以上に話しかけない。
一見すると、どれも当たり前のことかもしれません。

でも、送迎を必要とされている方にとって、その「当たり前」がとても大切なのだと思っています。

透析は、週に3回通院される方も少なくありません。
「迎えに来てくれなかったら、行きたくない」
そんな言葉をいただくことがあります。
その言葉を聞いたとき、僕は少し責任の重さを感じます。
僕たちにとっては1日の仕事の中の1往復でも、利用者さんにとっては、その日を過ごすための大切な通院です。

だから、安全にお送りすることはもちろん、
「今日もこの人が来てくれて良かった」

そう思ってもらえるドライバーでありたいと思っています。
そのために、会社としてできることは、これからも1つずつ増やしていきたい。

現在、ストレッチャー対応車の導入を進めています。

さらに、地域の方や透析患者さんのお役に立てるよう、一般社団法人を立ち上げ、福祉有償運送事業にも取り組もうとしています。

採算が取れるのか。
利用してくださる方がどれくらいいるのか。
正直、やってみなければ分かりません。

それでも、「必要としている人がいるかもしれない」と思ったなら、やってみる。

僕は、そういう会社でありたいと思っています。

普段の僕は、デスクの前で送迎表を作り直したり、請求書を作ったり、会計ソフトと格闘したり……。
事務作業が得意な社長ではありません(笑)。

これからは簿記の資格を持つ新しい社員に、記帳などを任せることになり、正直ちょっとホッとしています。

その分、僕はまた別のことを考えられる。

お客様からいただく何気ない一言に耳を傾ける。

「あったら便利なのに」

「こういう送迎があれば助かるのに」

そんな声を拾って、ノートの端に書き留める。
そして、また種を蒔く。

もちろん、蒔いた種が全部芽を出すわけではありません。

水のやり方が悪かったのか。
土壌が合わなかったのか。
まだ時期が早かったのか。
気がつけば、畑一面に種ばかり蒔き散らかしていることもあります(笑)。

それでも、種を蒔かなければ芽は出ません。

宝くじだって、買わなければ当たりません。

無謀なことはしません。
でも、「誰かの役に立つかもしれない」と思ったことには、これからも挑戦していきたい。

そして、僕が新しいことに挑戦できるのは、日々の送迎をきちんと支えてくれている社員がいるからです。

利用者さんを安全に送り届けてくれる。
時間を守ってくれる。
利用者さんに丁寧に接してくれる。

そんな一つひとつの積み重ねがあるからこそ、僕は次の種を蒔くことができます。

社員のみんなには、本当に感謝しています。

僕たちが目指しているのは、車を運転する会社ではありません。

「この人たちなら安心して任せられる」

そう思っていただける会社です。

今日も誰かを迎えに行く。
今日も誰かを送り届ける。
その1回1回を大切にしながら、また次の種を蒔いていこうと思います。

これは、会社の舵を取りながら、今日もせっせと種を蒔き続ける、とある社長の記録です。