介護タクシードライバー日記。運転手より

介護タクシードライバー日記。運転手より

JOURNAL

時間に追われることなく、
丁寧にハンドルを操るとき、
「安全運転をしている」と実感します。

でも、「安全運転」って、なんと曖昧な言葉なのでしょう。
なぜなら、「安全」と思う基準は、人それぞれだからです。

社長は、朝の着任連絡のときに、
「歩行者用信号をよく見て、車両用の信号が変わるタイミングを先読みして、急ブレーキにならないように」
と、具体的な安全目標を伝えてくださいます。

ありがたいことです。

透析送迎では、利用者さんが乗車されるのは片道だけです。
ご自宅へお迎えに行くときはドライバー1人。お送りしたあとは、またドライバー1人になります。
その1人の時間には、ラジオを聴いてもいいとも言ってくださいます。交通情報などを知るためでもあるそうです。

ずっと気を張り詰めるのではなく、緩急をつけて運転する。
それもまた、安全運転につながるのかもしれません。

透析患者さんは、基本的に週3回、月にすると平均13回ほど通院される方が多くいらっしゃいます。

中には、
「迎えに来てくれなかったら、行きたくない」
とおっしゃる方もいます。

通院の行き帰り、片道30分ほどの道のりでも、
「あなたと話していたら、あっという間に家に着いたわ!」
と言っていただくことがあります。

そんなときは、「良かった!」と、ささやかな自己満足に酔いしれています。

また介護タクシーの利用者さんは、数ヶ月に一度の受診だったり、ご家族が付き添われたりすることも多いので、ご本人だけでなく、ご家族とお話しする機会もあります。

それでも、話す内容は透析患者さんと大きく変わりません。

バックミラー越しに交わす、他愛もない天気の話。
昔の思い出話。
そして、ときには、ふと漏れる本音…

そんな言葉を、否定することなく、ただ寄り添って聞く。

「病気が少しでも良くなっていますように…」
結果をこちらから尋ねることはありません。
それでも、いつも心の中でそう願っています。

次の利用者さんは、どんな思いで通院されているのだろう。
話しかけ過ぎず、聞き過ぎず。
でも、必要なときには、そっと寄り添えるように。

安全に目的地へお送りすることは、もちろん大切です。
けれど、それだけが「安全運転」ではないのかもしれません。

利用者さんが安心して乗っていられること。
少し肩の力を抜いて、車内で過ごしていただけること。
そして、「今日もこの人が迎えに来てくれて良かった」と思っていただけること。

そんなことも含めて、私にとっての「安全運転」なのだと思います。

今日も、丁寧にハンドルを握り、ひとりひとりの思いとともに走る送迎ドライバーの日記です。